試験の基本情報
一般選抜(募集約105名)の一次試験は次の構成です。
| 科目 | 配点 | 時間 | 形式 |
|---|---|---|---|
| 英語 | 100点 | 60分 | 記述・マーク併用 |
| 数学 | 100点 | 90分 | 記述・穴埋め |
| 理科2科目 | 200点 | 120分 | 記述・穴埋め |
2025年度は志願者1,895名、受験1,730名、一次合格496名。最終的な合格者数と実質倍率は集計方法(正規合格のみか、繰上げ合格を含むか)により分析元で差があり、実質倍率はおおむね6.9〜7.6倍のレンジです。二次試験は面接(30点)・小論文(25点)・調査書(25点)。外部英語検定(英検・TOEFL等)のスコアは任意提出で、二次試験の参考資料になります。
合格最低点は4年連続で低下 — 静かに難化している
| 年度 | 合格最低点(一次・400点満点) | 得点率 |
|---|---|---|
| 2022年度 | 207点 | 51.8% |
| 2023年度 | 198点 | 49.5% |
| 2024年度 | 196点 | 49.0% |
| 2025年度 | 188点 | 47.0% |
合格最低点は4年連続で低下。これは受験生のレベルが下がったのではなく、後述の通り英語を含む問題側が年々タフになっていることの表れです。予備校各社が示す一次通過の目安は55%前後——「半分ちょっと取れば通る」試験で、半分を安定して取ることの難しさが慈恵の本質です。
出題の特徴 — 和訳ゼロ、設問もすべて英語
大問は長文3題のみ。文法の独立問題も、和訳の記述もありません。2020年度からは英作文も独立問題ではなく長文内の小問に組み込まれ(分析元により「2019年から」とする記述もあります)、「長文を読ませて、その世界の中で全部問う」形が完成しました。この長文3題構成は2025年度入試まで一貫して維持されています。
※ウェブ上には「大問4題(長文3+和文英訳1)」「大問6〜7題」と書かれた古い解説が今も多数残っています。これらは2019年度以前の旧形式です。年度の明記がない慈恵の英語解説は疑ってかかってください。
設問は内容真偽、文脈に合った語句の空所補充、同意語彙の選択が軸で、空所を英文の記述で埋めさせる小問が混ざる年もあります。設問文がすべて英文なので、設問を日本語に訳して考えていると時間が消えます。語彙レベルは英検準1級程度が目安ですが、近年は難語にほぼ注が付かないのが慈恵流。tainted、belittling といった単語も文脈から推測して進む胆力が要ります。
長文のテーマは医療・科学系が中心。英作文は長文のテーマに関連した倫理的・抽象的な問いに対し、解答欄から逆算して100語程度で自分の意見を述べる形式です。読解と切り離せないため、「読んで理解したこと」をそのまま英語の意見に変換する力が問われます。
| 年度 | 長文の題材(判明分) | 英作文の出題例 |
|---|---|---|
| 2021年度 | 天然痘とワクチン開発の歴史/自然光の治癒効果/学習における間違いの効用 | ジェンナーの種痘(人体実験)の倫理性への意見 |
| 2022年度 | ジョン・スノーとコレラ/人間関係の修復の効果/サンクコストの誤謬 | 架空事例(サンクコスト)についての意見記述 |
| 2024年度 | — | 医療における患者の態度への意見(約100語) |
年度別の変遷 — 数字が語る難化の足取り
形式が安定している一方、中身は静かに重くなっています。予備校各社の年度別講評をつなぐと、はっきりした足取りが見えます。
| 年度 | 講評の要旨 |
|---|---|
| 2022年度 | 語彙レベルは高いが分量には比較的余裕あり。精読で対応可能 |
| 2023年度 | 形式は同じまま文章量が約2割増。英作文の作業量も増加 |
| 2024年度 | 語数がさらに増え、注なしの高語彙+紛らわしい選択肢で難化 |
| 2025年度 | 「やや難」の水準が継続 |
合格最低点の低下(51.8%→47.0%)はこの流れと符合します。つまり慈恵対策は、数年前の過去問だけで時間感覚を作ると本番の分量に裏切られるということです。直近2〜3年分の過去問で「今の重さ」を体感しておくことが、他のどの大学よりも重要です。
時間配分と攻略の順序
60分で3題、1題20分が絶対のペースです。内訳の目安は、読解+客観設問に13〜15分、英作文を含む大問では書く時間に5〜7分。
このペースを守る鍵は2つあります。第一に、返り読みしないこと。慈恵の英文には「連鎖関係代名詞節を含む、カンマで寸断された長文構造」が現れます。複数の節が絡む文でも、前から意味のかたまりで処理する読み方を訓練しておく必要があります。第二に、設問を英語のまま処理すること。内容真偽の選択肢は本文の言い換え(パラフレーズ)で作られるため、同意表現のストックがそのまま解答速度になります。
そして慈恵最大の罠は、「本文は読めたのに選択肢で落とす」こと。慈恵の選択肢は他大学より紛らわしく作られていると複数の予備校が指摘しています。過去問演習では正解の根拠だけでなく、「誤答の選択肢がなぜ誤りか」を毎回言語化する習慣が効きます。
英作文は当日その場で考えると間に合いません。医療倫理・科学と社会の定番論点について、賛成・反対それぞれの「型」を事前に仕込んでおき、当日は長文の内容に接続するだけにしておくのが定石です。
時期別の対策プラン
夏まで(〜8月)|語彙を準1級水準へ+速読の土台
同意語・言い換え表現を意識しながら語彙を英検準1級水準へ。並行して300〜400語の英文を返り読みせず読み切る速読の土台をつくります。
秋(9〜11月)|700語級を20分で・設問英文に慣れる
700語級の長文を20分で(読解+設問)処理する訓練へ。設問英文の問題集・過去問を使い、日本語を経由しない解答プロセスを固めます。英作文は週1本、医療・科学系テーマで100語を10分で書く練習を。
直前期(12月〜)|60分3題の通し演習
過去問で60分3題の通し演習。20分を超えた大問は途中でも次へ進む判断を体に入れ、英作文の「型」を最終確定させます。
慈恵対策に対応する英語カルテの教材
速読英語 REALシリーズ(REAL → #2 → α)1題20分への最短ルート
平均137語→208語→356語と段階的に処理量を上げる構成で、読解・語彙・文法・整序を1セットで回すため、返り読みしない読み方が習慣になります。慈恵の生命線である「1題20分」への助走に。
構文カルテ — 長文読解データベース内容真偽×言い換え
長文100題+内容一致100問。慈恵の設問の軸である内容真偽の演習量を確保できます。選択肢が本文のどの表現の言い換えかを確認しながら解けば、同意語彙問題への対応力も同時に鍛えられます。
医学部英語 語彙×長文プラクティス背景知識と英作文の弾
医系語彙470語・英文57本。医療系テーマの背景知識と語彙の貯金に。英作文で使える医療系の論点・表現のストックづくりにも使えます。
東京慈恵会医科大学 英語 実戦問題 第1回実戦演習・NEW
慈恵の形式(60分・長文3題のみ・和訳なし・設問もすべて英文)に合わせて書き下ろした実戦形式のオリジナル問題です。客観29問+短い英文記述+テーマ英作文100語で100点満点、全問に根拠の引用と誤答分析つきの詳細解説を付けました。ブラウザで開くだけで60分のタイマーと自動採点が動くので、慈恵の生命線である「1題20分」のペースをそのまま測れます。過去問を直前期の実力測定用に温存したい方の「もう1回分」に。
すべての教材は、AIで作成した後に人の目で全問検証し、延べ300箇所以上を修正したものです。修正記録は品質・監査記録で全公開しています。
慈恵の形式で、もう1回分
実戦問題 第1回は、60分・長文3題・和訳なしの本番形式をブラウザ上でそのまま再現します。
「構文カルテ Vol.3 — 長文読解ラボ」「速読英語 REAL」は全機能を無料公開中です。
※配点・時間・募集人員は大学公式の公開情報、合格最低点・倍率・年度別講評は複数の医学部専門予備校・塾の公開分析を横断照合して作成しました。分析元により数値・記述に幅がある項目(倍率の集計方法、形式変更の年など)は幅のまま記載しています。出題傾向は年度により変わります。受験にあたっては必ず最新の募集要項・過去問をご確認ください。