試験の基本情報
一般選抜(募集約45名。ほかに地域枠計24名)の一次試験は次の構成です。
| 科目 | 配点 | 時間 | 形式 |
|---|---|---|---|
| 英語 | 100点 | 80分 | マーク式 |
| 数学 | 100点 | 80分 | マーク式 |
| 理科2科目 | 150点 | 120分 | マーク式 |
| 小論文 | 段階評価 | 50分 | — |
一次は350点満点。二次は面接で、2026年度から従来の個人面接に代わり課題型(MMI型)の面接が導入されました。一次試験の会場は倉敷の本学のみ(東京会場なし)です。
一次合格最低点の推移(350点満点)
| 年度 | 一次合格最低点 | 得点率 |
|---|---|---|
| 2023年度 | 206.3点 | 58.9% |
| 2024年度 | 223.5点 | 63.9% |
| 2025年度 | 258.5点 | 73.9% |
| 2026年度 | 188.3点 | 53.8% |
この表が示すのは「易化」ではなく乱高下です。2025年度までの急騰は、2024年度から正規合格者数が大幅に増やされたこと(繰上依存の軽減)と、「問題を難しくせず、ミスなく正確に得点する素養を見る」出題方針——つまり受験生全体の仕上がり次第でボーダーが大きく動く易問高得点型の構造によるものです。2026年度は志願者が1,150名→913名へ約2割減り、ボーダーも188.3点(53.8%)まで下がりましたが、この年の英語も「例年通りの構成で取り組みやすかった」と講評されており、翌年も低い保証はどこにもありません。2025年度の正規合格倍率は11.0倍。ボーダー予想に賭けるのではなく、7割超の年でも通る水準——英語を得点源にするなら9割以上、苦手でも7割——を最初から目標に置くのが唯一の安全な設計です。
なお2027年度の一次試験は2月1日で、日本医科・東京女子医科・日本大・久留米と同日です。九州の受験生は久留米との二択を迫られる日程になっています(2027年度の日程戦略参照)。
「川崎医科は易しい」という誤解 — 語彙は、意外に重い
この大学を「私立医の入りやすい方だから、英語も簡単」と考えている受験生は少なくありません。しかし実際に過去問を開くと、印象は変わります。設問の作りは標準的でも、本文そのものの語彙レベルと題材の抽象度は決して低くないのです。
出題された英文の出典として、ハーバード大学ロースクールが運営する医療政策ブログからの英文が特定された年もあります。受験用に書き下ろされた英文ではなく、実際のアカデミックな記事レベルの英文が使われるということです。テーマも終末期医療、菜食主義の健康・環境影響、座位行動の健康リスク、情動伝染、先延ばし(procrastination)の心理学など、医療・心理・社会系の抽象度の高いものが並びます。キーワードの procrastination を知らなかった受験生は、その長文全体を内容理解が曖昧なまま読み進めることになった——という予備校の分析が、この試験の怖さをよく表しています。テーマ語を1つ落とすと、設問が易しくても長文がまるごと崩れる構造です。
語彙対策の水準については分析元で見解が分かれます。「標準的な単語帳+全国模試偏差値60前後の英語力で対応可能」とする予備校がある一方、「ターゲット1900などの標準単語帳では不十分。医学・生命科学分野の用語と高度なイディオム・句動詞の習得が必須」と明言する予備校もあります。両論を踏まえた現実的な結論は、標準単語帳を完成させた上に、医系・アカデミック頻出のテーマ語を上乗せすること。「易しいから語彙は後回し」という判断だけは、この大学では成立しません。
出題の特徴 — 標準的な設問×重い本文×高いボーダー
第1問は語彙・文法の知識系で、ここは満点を取りに行く場所です。第2・3問の長文は1題800〜1,000語とやや長めで、空欄補充(論理接続語を含む)・整序・内容一致が組み込まれます。2024年度は2題とも医療系寄りの長文で、医系語彙の比重が増えました。なお分析元により「大問3題」とする予備校と、整序を独立の大問と数えて「4題」とする予備校があります(長文内の設問として数えるかの違い、または年度による変動とみられます)。
時間の体感も分析元で割れています。「分量は多くないが、けっこうギリギリと感じる受験生が多い」「時間は極めて厳しく全問完答は困難」とする予備校がある一方、「時間が不足することはない」とする分析も。つまりこの試験は、読速が速い受験生には余裕があり、遅い受験生には致命的という、読解スピードで体感が大きく分かれる試験です。ボーダー7割超の年に通るには、難問対策より「標準問題を落とさない精度」と「重めの本文を時間内に読み切る速度」の両立がすべてになります。
受験生がつまずくポイント
予備校の分析と講評から、失点パターンははっきりしています。第一に、テーマ語・医系語彙の不足。標準単語帳止まりの語彙で臨み、本文のキーワードが取れずに長文全体の理解が崩れるケースです。第二に、高度なイディオム・句動詞・構文。take into account、Had it not been for、in that SV、That being said、what little money のような表現が本文の理解を左右します。第三に、マークミス・ケアレスミス。易問高得点型では1問の重みが大きく、9割勝負ではマークずれ1つが合否を動かします。
そして最大のつまずきは、試験が始まる前にあります。「易しいから直前の過去問だけで足りる」と対策を後回しにすることです。ボーダー73.9%の年に、その見立てのまま7割弱で敗退した——という構図が、2025年度に実際に起きたことでした。
時間配分と攻略の順序
推奨は、第1問の知識系を15分以内で確実に回収し、長文2題に各28〜30分、見直しに5分。
長文内の整序・空欄補充は、前後の文の論理関係(因果・対比・例示)を根拠に決める癖をつけると精度が安定します。オールマークなので、見直し時間にはマークずれの点検を必ず組み込んでください。9割勝負では、マークミス1つが合否を動かします。
時期別の対策プラン
夏まで(〜8月)|知識系の完成と頻出テーマの貯金
語彙・文法・イディオムを「第1問満点」水準へ。医療・環境・科学技術系の語彙と背景知識も英文の中で貯めていきます。
秋(9〜11月)|800〜1,000語を30分で
長めの長文を30分で1題(読解+設問)処理する訓練へ。整序・空欄補充は根拠の言語化を習慣に。
直前期(12月〜)|80分の通し演習+ミス管理
過去問で80分通し。失点を「知識不足」と「ミス」に仕分けし、ミス由来をゼロへ。9割目標の科目では、ミス管理が最重要の対策です。
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医系語彙470語・英文57本。医療・健康系の頻出テーマの語彙と背景知識を英文の中で固め、長文の読速を上げます。
速読英語 REALシリーズ(REAL → #2 → α)長文の処理速度
平均137語→208語→356語。800〜1,000語級への助走として、返り読みしない読み方を段階的に作ります。
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※一次合格最低点・志願者数は川崎医科大学公式サイトの入試データ、出題分析は複数の医学部専門予備校の公開分析を横断照合して作成しました。大問の数え方・時間の体感・語彙対策の水準は分析元により見解が分かれるため、本文中で両論を示しています。受験にあたっては必ず最新の募集要項・過去問をご確認ください。